
フィラデルフィアの名門グループ The Three Degrees がヨーロッパで切り拓いた新境地。
The Three Degrees / My Simple Heart
フィラデルフィアの名門グループ The Three Degrees が、活動拠点をヨーロッパへ移し、Ariola Records で新境地を開いたのが今回レコメンドする My Simple Heart (1979) です。
プロデュースを手がけるのは、Donna Summerとの数々のヒットで当時のDiscoシーンを牽引していた Giorgio Moroderっ!
TSOP時代のPhilly Soul的な濃密さとは別の、ヨーロッパ発の洗練されたPop Discoの美学が、The Three Degrees の優美なヴォーカルと見事に融合したサウンドになっています。
USではPromo盤のみのリリースというのもマニア的には魅力ですね。
Giorgio Moroder流の透明なサウンドとThree Degreesの優美な調和
とはいえ、単なるコレクターズ・アイテムで終わらない「手に取って針を落とす理由」が、この音にはシッカリ刻まれています。
イントロは、Giorgio Moroder特有の透明度の高いシンセがフワリと空間を照らすように広がり、そこへ落ち着いた4つ打ちのビートがスムースに重なっていく…Discoというより、ヨーロッパの風を含んだ柔らかなPopsといったニュアンス。
その上に、Three Degreesの3人の歌声がスッと入り、まるで朝の光がカーテン越しに差し込む瞬間のような清らかな高揚感を作り出しているようなカンジです。
曲全体は、モロダーらしい直線的な推進力よりも、メロディの美しさとPopな親しみやすさが強調されたアレンジですね。
特にサビの開放感は格別で、「シンプルなハート=まっすぐな愛」をテーマにしたリリックが、甘すぎず、スゥ〜と胸に入るニュアンスで響きます。
ヨーロッパで受け入れられた「まっすぐな愛」のメッセージ
愛に振り回されるのではなく、自分の感情を誠実に差し出す…そんな等身大のメッセージは、1979年当時のヨーロッパのPopなリスナーに大きく受け入れられました。
クラブ・シーンでは、重心の軽いビートとキャッチーなメロディが相まって、ディスコフロアをやわらかく包み込む安定感のあるミドル・グルーヴとして機能。
濃厚なGarage Classicを繋ぐ前後の箸休め的な時間にも最適で、DJ達のセットに自然と溶け込むタイプの1曲です。
ブレイク部分ではシンセとコーラスだけが残り、ぐっとエモーショナルな空白が生まれる瞬間があり、ここがまた秀逸っ! そこからビートが戻る復帰のキラキラした高揚感が、12インチならではの音の広がりを与えてくれます。
ヨーロッパでの成功と、後世への影響
USではセールス的に大きな数字は残さなかったものの、ヨーロッパでは大ヒットしました。
後に Carol Douglas が1981年にDiscoアレンジでカバーし再びチャートを賑わせたコトからも、この曲が持つ普遍的なPop Discoの魅力が証明されています。
Three Degrees の歴史を語る上でも重要な1曲であり、Giorgio Moroder流のライトな質感と女性ヴォーカル・トリオの華やかさが溶け合った、美しい瞬間を閉じ込めた12インチっ!
爽やかで、甘くて、しなやか…この清涼な1曲を、ぜひ針を落として味わってください〜。
1979リリース